◯翔工房
紡ぎ、染め、織る。福岡県小郡市の田園風景の中にある、織り物の工房です。 ◯SHOテキスタイル研究所 翔工房の教室の中から、より高いレベルでやってみよう!そう思った人の集まりです。それぞれが仕事を持っていたり、家庭をもっていたりと、暮らしの条件は様々ですが、週1回のライフワークを中心に、自分達で高め合いながら織りに取り組んでいます。 ◯作品2011年 6月 3月 九州ちくご元気計画 カテゴリ
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![]() カシミヤの手紡350gは教室の合間に内職のように紡いだものです。 定番の網代織のストール用です。 母屋の機で夜に織ります。 同時進行で工房ではコチニールの糸紡ぎを始めます。 どちらも楽しみな仕事です。 『仕事』について学ぶ授業です。 本来ならいろんな職場に中学生が出向いて見聞きするそうですがコロナ禍においてはそれが叶わないので、逆にいろんな職業の方が学校で講話するという初めての試みとか。 担当の先生と事前打ち合わせして、どうしてこの職業を選んだか、やりがいや苦労することなど1時間授業を2コマすることに。 、、織物って何?から始めないと理解してもらえないよなぁ~って思う私の仕事。 私など呼んでもあまり役には立たないだろうと思ったのですが、、 絵織りや手紡ぎ糸で織ったストールやブレザーを見せてこれが手織りだよってところから始めましたが やっぱりピンとこない様子の中学生たちで、力不足を反省して帰ってきました。 次の日は疲労困憊で昼寝しました。 数日前、子供たちの感想文が届きました。 中学生たちが自分の将来の仕事を選ぶ時の参考になればと思って話したことをちゃんと理解してくれていたので安心しました。 まぁ、織物の道を選ぶ子はいないだろうけどね笑 以下、当日あがって喋れなくなったら大変なので原稿書いて行きました。 この通りにはしゃべれませんでしたし子供たちに質問したり、されたりしながら進めました。 長文ですがお暇ならお読みください笑 コピーしたら文字が大きくなっていますが直し方がわからないのでこのままで。 講話原稿 ●初めに 私は結婚を機にここ小郡市に住むようになって35年ほどになります。 年齢は皆さんのおばあちゃん位の67歳です。 織物の制作と教室をする翔工房を運営しています。 これから私が織物を自分の仕事として選んだ経緯や仕事の内容、やりがいや苦労などお話したいと思います。 織物って言葉は若い皆さんには分からないかもしれませんね。 皆さんが着ている服は昔は機織り機で作られた布から作られていました。 今は機械で大量に作り出すことができますが、今から100年くらい前までは各家庭でお母さんやおばあさんが家族の着るものを作っていました。 と言っても洋服ではなく着物ですね。 今は家庭で作ることはないですが、伝統産業として残っています。 福岡県では博多織や久留米絣があります。 私が織っているのは現代の生活ですぐに使えて生活に彩を与えるものです。 服、ストール、マフラーなど着るものや 暖簾、クッション、ランチョンマットなどのインテリアとして使うものです。
●詳しい織物の仕事の内容を話す前に私が織物を仕事に選んだ理由をお話します。 〇子供のころから絵を描くのが大好きでした。 なので将来は画家になりたいと思っていました。 〇中学生くらいになると漠然とした画家になるという夢から、その時代の最先端であるグラフィックデザインという商業美術への関心が高まりました。 〇そして高校卒業後は地元大学ではなく東京のデザイン専門校へと進みました。 今と違いインターネットなどありませんでしたから文化や物事の発信地は東京で、その頃の多くの若者は勉強でも仕事でも東京でと思っていました。 〇私は親を一生懸命説得して願いが叶って東京へいくことができました。 田舎者の夢が叶ったわけです。 ところがグラフィックデザインの学びを進めていくうち気持ちが変化していきました。 グラフィックデザインとはひとりで完結するものではなくチームで一つのものを作り上げる仕事なのだと気づいたのです。 〇私は自分の中にある思いを自分の力だけで完結させる仕事がしたかったのです。 自分の手から何かを生み出したい。そう思い始めるとグラフィックデザインへの思いは自然と消えていきました。 〇では何をしたいのか、しばらくは悶々とする日々が続きました。 〇ある日街を歩いていたらショウウインドーに飾られたお花の絵が目に入りました。 近づいてよく見てみるとそれは絵具で書かれた絵ではなく糸で織られた絵でした。 あぁ、なんて暖かいんだろう、思わず触りたくなるその風合いに心が踊りました。 〇それが織物との出会いでした。糸で絵が描けるんだ、その時、グラフィックデザインから織物へと進路が変わりました。 〇グラフィックデザインの学校を卒業した後、さらに織物(テキスタイル)の専門校に入学しました。 〇けれど織物の学校にすぐに行ったわけではありません。 それまで学費や生活費を援助してくれた親にさらなる援助は申し訳なくて 一年間いろいろなアルバイトをして入学金や学費を貯めて夜間コースに行きました。 昼間は働き、夕方から学校に行っていました。 ちょっときつかったけど若いですから体力気力は十分ありました。 これが織物を仕事として選んだ経緯です。 それからの長い年月は様々なことがありましたが今も織物の仕事を続けています。 ●では改めて実際の仕事の内容についてお話します。 仕事は2本立てでやっています。 〇一つは織物作家として 天然の素材(綿、ウール、麻、シルク)を使って昔ながらの機織り機で布を織り販売しています。 私の織物の特徴の一つは糸から作ることです。 糸は普通機械でつくられています。 それに比べて昔ながらの手で紡いだ糸を使うと(糸を作ることを紡ぐといいます)空気をたくさん含んだ肌に優しい布になります。 ただ紡ぐのに時間が掛かりますので少ししか作ることができないです。 織るのも機械と違ってとても時間が掛かります。 また染にもこだわりがあって化学染料を使わずに、自然の植物から取り出した色素で染めています。今、この自然の植物から染めたものを求めてくださる方が多くなってきました。 私の作る布は素材にこだわり手間暇かけて作るのでどうしてもお値段が高く気軽には買えないのになります。 けれどそういうものの価値を認めて買ってくださる方がいるので成り立っています。
〇もう一つは織物教室 私が作っているようなものを自分でも織りたいという方に技術を教えています。 糸を作ったり染めたりすることも含めて教えています。 ただ技術を教えるだけではなく手で物を作り出す喜びを感じてもらって、日々の生活を豊かにしてもらいたいと思いながら教えています。 教えた中には自分でも作家になったり教室を開いたりするひともいます。
●次は仕事のやりがいや苦労についてお話します。 私が作るものは工芸品とかクラフトと呼ばれます。 日常の生活で使うものです。 昔はほとんどのものが手作りでしたが、今は機械の発達で同じものを大量に生産できる時代です。しかも値段も安く買うことができます。 そんな時代にどうして手作りにこだわるか? そこがポイントです。 機械で正確に機能性を重視して作られたの、しかもお安く手に入るものを好む人もあれば、人の手で手間暇をかけて作られた一つとして同じものの無いものを好む人もいます。 少し前までは安く買えるから良いという考え方をする人が多かったのですが、今の時代どちらを選ぶかはその人の価値観や生き方が関係してくるようになりました。 どちらが良いということはないのですが私の作ったものは後者の方に選ばれています。 (こういうものを探していました。嬉しい。大事にします。と言ってくれる人に買ってもらうと作った私も嬉しくなります。)
でもこれが大変です。オリジナルの布(マフラーなど)を作り出すまでにはかなり苦労します。 何しろお手本があるわけでもない中で、何処にもないものを作り出さなければならないという生みの苦しみを味わっています。
ですから常に頭の片隅で、制作のアイデアを考えています。 よく才能があるとかセンスが良いとか、自然に湧き出てくることのように言われがちですがそうではありません。 何と、グラフィックデザインの勉強で学んだことが今の織物制作の核となっています。色の効果やデザインの勉強をしたことは、織りを仕事としてやっていくうえでとても必要な学びでした。 それと作ったものを販売してその収益が生活費になりますので販売する工夫も重要な仕事です。 これがまた難しいです。
教室の運営では人に教えるという、ちょうど皆さんと先生との関係と同じです。 これまた大変で、どうやったらうまく理解してもらえるか、一人一人のペースに合わせて教えること、うまく導いていくことは結構ストレスを感じることもあります。 反対に良い作品を作ってくれたりすると自分のことのように嬉しいです。
〇私の仕事は会社のようにたくさんの人と一緒に仕事をするのではなく、私一人の個人の仕事なので、常に気を付けていることは心身共に(心も体も)健康でいなければならないことです。これもなかなか難しいです。
●今日、私の話を聞いてくれてる皆さんの中にも私のように絵を描くことや物を作ることが好きで、将来、工芸作家になりたい方がいるかもしれません。 でもね、正直なところお勧めできないところがあります。 なぜならとても大変だったからです。 私がやっている工芸(クラフト)というのは、人に使ってもらうだけの技術を身に着けるのに長い時間が掛かります。 一人前になるのに10年くらい(修行という)はかかるものです。 私の教室にも将来作家になりたいと願って勉強している生徒さんがいますが『人と同じようにしていては作家になれないよ、人の3倍努力しないとね』などと脅しにも似たことを言っています。 しかも一人前になるまではまともな収入がありませんから経済的にも大変ですね。 私自身、よく今まで続けてこれたもんだと思っています。 けれど続けてこれた理由があります。 それはこの仕事が好きだからです。 人の気持ちを豊かにして、暮らしに彩を与えてくれる織物を作ることが喜びです。 この思いを柱に今まで手を動かしてきました。 こんな白髪頭のおばあさんになりましたが、今も、これで良しというものはなくて次から次へと作りたいものが溢れ出てきます。
思えば、私が将来の仕事について考え出したのは中学生頃でした。 そしてはっきりと織物を仕事にしたいという目標を持ってからはいろんな苦労はありましたが実現できたことを誇りに思っています。 皆さんが、これから将来の仕事を模索するとき、できれば自分の好きな事、やりたいことが仕事につながると良いですね。 とても夢のような現実味の無い仕事だったとしても、まずは行動してみることをお勧めします。 もしかしたら叶うかもしれません。 結果よりも夢を追いかけて行動することは楽しいですし、無駄にはなりません。 今、私は自分のやってきたことはすべて何処かで繋がっていたことを実感しています。 皆さんも夢にチャレンジしてみてください。 これで話は終わります。 聞いてくれてありがとうございました。 ![]()
by shokobo
| 2021-07-04 16:01
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