精霊さまを送ってお盆も終わり。
今年も夫の兄弟家族が揃って仏壇の前で和やかに賑やかに一日を過ごすことができてほっとしています。
毎年のことながら盆正月のもてなしは長男の嫁の大仕事で体力使います。
料理だけではなく掃除から始まる準備は経験した人しか理解できないものがあります。
一番頭が痛いのが料理。
田篭家は鶏のから揚げが大好きで2~3㎏は揚げています。暑い夏は苦行。
一度、出来合いのを出したら「姉さんのが美味しい」というありがたいお言葉でまた手作りに逆戻り。
子供が小さい時は好みに合わせてフライドポテトやピザやエビフライなども作っていましたが、今年は皆ビールが飲める大人になってしまいました。
今年もせっかく集まるのだから喜んでもらおうと心を込めて手作りにこだわってみましたがやっぱり不評なお盆の伝統料理が二品、ほとんど手つかずで残っていました。
鱈胃の甘煮とあちゃら漬けです。
鱈のエラや胃袋などの内臓を乾燥させてものを水で戻してたっぷりの砂糖と醤油で長時間煮たもの。カサカサに乾いたトイレブラシのような形でお盆の時期にしかお店に出ません。
鱈は九州近海では取れませんから昔は年に一度お客様に振る舞う貴重なものだったと思われます。
夏野菜を甘酢で軽く煮たもので和製ピクルスですが味付けはシイタケの戻し汁と昆布とタタキ鱈です。必ず花麩が入ります。
意外と面倒な下ごしらえです。かなり酸っぱいので一か月近く日持ちします。
どちらも砂糖を大量に使う料理です。昔は贅沢な味だったと思います。
暑い中お盆参りに来られた方に冷たい麦茶と鱈胃とあちゃら漬けをお盆に載せて「暑い中をありがとうございました」と挨拶を交わす昔見た風景が目にうかびます。
これは私が実家の母から受け継いだ大切な味。
私の子供の記憶の片隅に残ればそれで良しと思って来年も再来年も作り続けます。
毎年のお盆や正月は自分の記憶に残る昔風を貫いている私です。
私の仕事にも同じことが言えます。
これまで試行錯誤の中で培ってきた技術や考えを変えることなく伝え続けることが大切なことだと思います。
さて仕事です。